2010年4月30日金曜日

ついせん東京スタッフ書記のついせんストーリー 本編2章 理念の迷走

前回、ついせんの本のタイトルに関してアンケートをとった。
本のメインタイトルとサブタイトルを分けてアンケートをとったため結果は以下のようになった。

「毎日が変わるtwitter -ご近所から宇宙まで」

(何か、このタイトルを見ただけでも懐かしい。)

この結果をtwitterのタイムライン上に公開すると、 #twicase1000 に参加している人からさまざまなtweetがちらほら出てきた。雪之丞(@yukino_jo)さんが、「アンケート3回戦もやりましょう!」とか乗り気?(でもこれはこれで、嬉しかったっす)のtweetもある一方で、発起人の平原(@yhirahara)さん含めて何かしらの違和感を感じていたのだと思う。意識しているかどうかは分からないが、それぞれが自分の想い、価値観をもってtwitterを使っている。出版する本にもとめるものがバラバラになるのは、当然だ。

しかし私は、このアンケートをとるという行為が無駄な行為だったとはこれっぽっちも思っていない。むしろ、「twitterを使っている人は、各自それぞれがtwitterに求めていることが違うということを分かってもらう」ために必要な行為だと改めて実感した。(後で、ついせん東京スタッフの森田(@naokazu)さんが、「twitterは、1,000人いれば1,000通りの使い方がある」とtweetされていたことと同じことだ。)
仮に、このプロセスを得ずに平原さんが自分の想いをblogに綴っただけだと「ついせん」がここまで多くの人に共感していただけるものとならなかったのではないだろうか。

また、ついせんのコンセプトが認知されつつある今と比べて、当時の #twicase1000 の検索結果のタイムラインは話が脱線することが多かった。脱線すること自体は問題ではない。むしろ多少の脱線は大歓迎だ。

当時のタイムラインを拝見していて、一番気になったこと、、、それは、「誰」に向けて本を出版するの?ということだった。つまり、対象とする読者層をなぜ決めないと先に進まないのではないか。みなさんは、どういった方を対象者としたいのかを明確にしないと迷宮入りすると思っていた。
そこで「誰のための本なの?」と #twicase1000にtweetした記憶がある。その直後、「誰のための本?」というテーマでタイムライン上で議論が進んだ。アンケートをとったタイトルに関してもう一度考え直した方がよいのでは?という意見も出てきたと思う。

そんなときに、平原さんからあるメッセージが!

皆が有志の会ではなくマーケッター集団になってしまいっているのがちょっと気になりますが、原点に戻ると、Twitterでこんなことができた、こんなに変わったという様々な分野の事例が私たちに感動を与えてきました。純粋にそれを伝えていきたいのです。 #twicase1000 【企画】

売上(利益)を目的とした本でしたら、この会で作る必要はないと思います。Twitterの世界に浸かっている私たちにしか見えない感動のストーリーをより多くの人に届けたい。そういう思いで始まったプロジェクトです。#twicase1000 【企画】

@beee1985 Twitterでは、感情が大事なのです。ヒートアップするって、決して悪いことではないです。情報だけではなく、感情が伝わるのがTwitterです。それも含めての試行錯誤がこのプロジェクトの面白いところだと思いませんか? #twicase1000 【企画】

マーケッタ議論を吹っかけた私は、正面から平原さんのパンチを受けたような衝撃だった。
まだ、ついせんの想いが共有できていないにも関わらず、マーケティング論のような手段に走ってしまったことが恥ずかしかった。ノックアウトパンチを喰らった私は、しばらくPCの前で呆然としていたような気がする。もちろん、今となっては貴重な経験だ。私の普段の仕事では、0ベースでサービスを開発する機会はほとんどない。(経験したことはあるが、)そういう意味でも、この時期についせんのコンセプトに立ち会う機会をいただけたことは大変貴重な経験だった。

この頃、実は「ついせん」になくてはならない方が2人、タイムラインに参加されている。1人目は、後に大阪座長となる渋谷(@TakahiroPEJp)さん、もう1人は、、、次回以降のお楽しみです。
渋谷さんのやられたことの感想は、次回以降に書かせていただきます。

また、ついせんの理念を人に説明するのは、非常に難しかった。
実際、自分自身がうまく説明できずに平原さんをはじめとするついせんメンバーとある方にご迷惑をお掛けしてしまった。

あれは、2月7日の夜のことだった。
#twicase1000 のtweetを拝見していると「クラウドソーシング」という言葉が出てきて「クラウドソーシング 世界の隠れた才能をあなたのビジネスに活かす方法」の話題となっていた。「クラウド」というキーワードであるお方を思い出してしまった私は、その方を巻き込んでしまえば出版もスムーズに行くのでは?とひらめき、気づいたらその方が書いた本を前日の2月6日に#twicase1000にtweetしていた。

kzhirata RT 日本でも @tomokyun85 さんが、書かれた「図解クラウド早わかり」 http://ow.ly/14yTr でtwitterユーザの意見を参考にされています。 @TakahiroPEJp: 少なくとも書籍化した先行事例があるので、 #twicase1000 【企画】

tweetしたとき、#twicase1000のタイムラインをご覧になっていた方の反応はなかった。個人的には、自分が読者として体験したわかりやすいビジネス事例だと思ってtweetしたが、周りの反応はそうでもなかったようだ。

ところが、翌日の2月7日、紹介した本の著者である八子知礼(@tomokyun85)さんが私のtweetに反応していただいたのが驚きだった。単なる一読者のtweetに対して著者が反応していただく、これがtwitterの醍醐味でもある。当然、八子さんは、ついせんの経緯をご存知でないので、我々が何をやっているのか問い合わせてこられた。
私が簡単に、「平原さんを中心にtwitterでの事例を1000個集めて本を出版しようと考えています。」と説明した。当時は、まだ平原さんが「ついせんへの思い」をブログに書かれていなかったので、ついせんの理念を簡単に説明することが非常に難しかった。

八子さんは、過去の「#twicase1000」のtweetを短時間で全部読んでいただき、平原さんをはじめ、ついせんメンバーに対して、出版までの課題を論理的に述べ始めた。
指摘はごもっともで反論の余地もない。読者の読みたいものでないと書籍としては売れない。また、1000事例を全て掲載すると1事例1ページとしても1000ページ。百科事典のようになってしまう。
少し考えれば分かることだが、少なくても自分自身は、何も考えていなかった。
ただし、八子さんが課題と改善案をtweetするに従い、平原さんがあまりよい思いをしていないなぁと感じるようになってきた。物事を決める展開が速すぎるのだ。ちょっと気まずい雰囲気になってきたなぁと思った。感情レベルでのtweetのやり取りだけは避けたい。どうしようか、、、悩んだ。自分が巻き込んでしまったので、何とかして気まずい雰囲気に終止符を打ちたかった。そこで、もがいた挙句に出たのがこのtweetだった。

kzhirata @tomokyun85 そうですね。ただ、何を決めるにしても仕事の打ち合わせのようにばっさり決めるのはどうかと、、、そこも含めてtwで試行錯誤しています。がつがつした目標に邁進するとtwitterの良さが失われる。それが、非常に嫌です。難しい。 #twicase1000 【企画】

上手く伝えられたかどうかは分からない。ただし、平原さんには伝わったと思う。八子さんもこれ以上tweetするとややこしくなると察したのか、議論は一旦ここで打ち切られた。当時は、正直失敗したと思った。いくら素晴らしい方でも「理念」を共有できなければ、上手くやっていくことはできない。頭では分かっていたが、実際に経験して悔しいと思えるくらいの衝撃を受けた。このtweetのやりとりで2時間。平原さん、八子さん双方にこれだけの時間を費やしていただいたことに対して心から申し訳ない気持ちで一杯だった。

そのときの平原さんとのDMのやりとりは以下の通り。

≪私から平原さんへのDM≫
kzhirata
すみません。理念をうまく説明できていなくて。いろいろお手数お掛けしました。夜遅くまでありがとうございました。理念を共有するのは、本当は、直接お会いするのが、ベストなんですけどね。

≪平原さんから私への返信DM≫
YHirahara
いろいろ難しいですね。Twitterならではのプロジェクトとは、技術とかメディアという意味ではなく、文化ですね。Twitterの奉仕精神の文化を理解していない人にはなかなか通じないものがありますね。色々な人に色々なことを言われるのは覚悟で、とにかく簡単に諦めず、努力ですね。

ここまでの記述では、八子さんは悪者にみえるかもしれない。ただ、後になって分かったことだが、当然八子さんも、平原さんが自分のtweetをあまりよく受け取っていないことは充分承知されていた。なのに、なぜあの速いペースで課題をtweetし続けたのか?

私はこのように解釈する:「何かを成し遂げたいとき、ある人のtweetに対して、課題を考えずに賛成する人は真の味方ではない。自分がどう思われようとも目の前の課題・問題点を指摘して、相手に気づきを与えられる人こどがその人の真の味方である。

twitter上でこれができる人は、一握りの人だ。実際自分はできていない。今まで相当いろんな人間と真剣に接していないとできないことではないかと思う。

ただ、自分が申し上げたtweetに対して反対意見、否定的な意見が出た場合は、非常に貴重な意見をいただいたと思うように心がけている。反対する理由が分からなければ、問い合せるようにしている。これだけは自分でも充分できることじゃないかなぁと思っている。

話を元に戻そう。実際に平原さんの「ついせんへの思い」でも下記のような言葉が出ている。

出版関係者の人によれば、
1000事例はとても多すぎる。
電話帳になってしまうと言われました!

八子さんとのやりとりが、平原さんからみなさんへの「ついせんへの思い」を分かりやすく伝えることができた一つの要因になっていると思われる。
この件で、ついせんのメッセージが少し明確化したこと、何より自分がtwitterを通じて実際に勉強させていただいたことが大きい。平原さん、八子さんには本当に心から感謝しています。ありがとうございます。

ただ、このとき私は八子さんが「ついせん」に参加されないだろうなぁと思っていました。

次回は、ついせんで誰よりも情熱をもって行動された方とのやりとりを紹介します。


P.S. 八子さんの読者とのやりとりは、ハッシュタグ「#yakocloud」をご覧いただけると分かります。
読者が、どのように著者にアプローチするとよいのか参考になるかと思います。

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